2016年6月13日

手づくり作家支援hide and seek(通称ハイシー)さんは、横浜市・大和市・相模原市を中心に活動しているハンドメイド作家&セラピストチームです。今回はその代表であるいとうなおみさんと、副代表であるさとうさくらさんにインタビューをさせていただきました。

(左から、伊藤さん、小野、佐藤さん)

<<真逆なキャラをもったふたりの出会いとは>>

小野(以下O)「もともとおふたりとも作ることはお好きだったんですよね?」

いとう(以下I)「そうですね、私はもともと写真が好きで結婚前の職場が写真スタジオでした。学校でグラフィックデザインを専攻していたので、職場ではデザインを任されて気が付いたらデザイナーになっていました。
結婚して横浜に来て、子供に恵まれて小さいうちから仕事をしたいと思ったんですけど、我が家は地方出身核家族なので、子供を預けられる人が近くにいなくて。ならば家でできる仕事をしようと思いまして。フリーで仕事をしている先輩も多かったので自営で仕事をすることに抵抗がなかったんです。デザインはパソコン一台でできる仕事ですから、子供が生まれてから少しずつ始めました」

 

O「それはチラシの製作とかですか?」

 

I「とは言えコネも大した実績もありませんので本当に手探りで・・。
私、3人娘がいるんですけど、末っ子がちょっと手がかかる子で(笑)生まれた時からの抱っこっ子で三人目にして初めて育児の壁にぶち当たったというか。。。末っ子と二人で家にいたら息詰まるな、よくないなと思って。末っ子が2歳になった時にダメ元で保育園を探したんです。でも2歳児って保育園がいっぱいで空きがなくて。。。覚悟していましたが待機児童ばかりで。。。でもちょうど相談に行った日に「3日前から受け付けが始まった乳児園がある」って聞いて。その場で電話して見学に行って。もう速攻でした(笑)自宅からすごく遠いんですけど、それでも子供との関係の為にも預かってもらおうって決めて。
そこから正式に起業届を出して。

ちびっ子3人抱えて良く行動したなーって今でも思います(笑)
ちょうどそんな頃にママ友で雑貨が好き、手作りが好き、そういうものでやっていけたらいいねと盛り上がって、仲間内でイベントをやろうかと。そこで初めてイベントのチラシを作って。それが4年半前です。その時作ったチラシを見て、電話をくれたのが佐藤なんですよ(笑)」

 

佐藤(以下S)「なんかおもしろいイベントをやる人がいるんだなって。もともと子供が同じ幼稚園だったんですけど。女の子のママと男の子のママなので、それまではあまり交流がなかったんですよね。」

 

O「佐藤さんも手作り系のことをやっていらした?」

 

S「私はパワーストーンでその人にあったブレスレットなどを作ったりして、ネットを中心に活動していたのです。どちらかといえば占いの方に近いかもしれません」

 

I「ママ友にそんな人がいたのかと。ちょうど自分でもパワーストーンのブレスレットが欲しいなと思っていたので、おうちに行って、その流れでつくってもらったのです。それでそういうお仕事をしているのなら、イベントに出してみてはどうかなと思って。
瀬谷にオレンジクローバーさんっていう手芸店さんがありまして、そのイベントの出展者を募集していたので、こういうパワーストーンを出してみればっていう感じで声をかけたんです。私は私でリメイク缶を作って多肉植物を寄せ植えして販売することを始めたところだったので、それを出展しようかなと」

 

O「いろいろなことをされているんですね(笑)」

 

S「たかが寄せ植えと思われがちなんですが、伊藤は、もともとデザイナーなので、植え方のセンスがいいんですよね。すごく上手で。そのセンスを生かしてイベントのディスプレイも担当してるんですよ」

 

O「瀬谷のオレンジクローバーさんのイベントがきっかけになったようですが、伊藤さんはその前におうちショップのイベントもやられたんですよね」

 

I「そうなんです。佐藤が電話してくれたイベントです。手づくりが好きな仲間が集まって、仲間の自宅を借りてイベントをやったんですけど、全然お客さんが来なくて・・・。

ほんと仲間うちが来ただけっていうことがあって、もっとちゃんとしたイベントをやりたいという気持ちが強くなって。オレンジクローバーさんのイベントに出させてもらったことがきっかけで、そこのすぐ近くのレンタルスペースの「もくりん」を借りられると聞いて、その日のうちに「もくりん」に「この日にイベントをやりたい」って予約をいれちゃったんです(笑)」

 

O「すごい、早い!」

 

S「すごいですよね(笑)最初に伊藤から聞いた時は、普通に出展者の1人として話されたんです。でも話を聞いてると、どうも何も決まってない(笑)普通は仲間を募って予定を立てて、イベントの日を決めると思うんですが、先にイベントの日を決めてるのに、何も決まってないというのが、私の性格的には考え付かないので、びっくりして。」

 

I「私があんまりグイグイいくから、放っておけないっていう感じで思ってくれたみたいで」

 

S「私とあまりに真逆の思考なので、ホントビックリしたんですが、聞いているうちに本当に2か月ちょっとで出来るのかなとほっとけなくなって(笑)大丈夫なのかなって思って。予約の日にちが入っているんですよ。3月の3日、4日って。3か月先っていうのに、なんにも決まってなくて」

 

O「なんにも決まってないのに、やると!でも、そのイベントは2か月の短い準備期間でできた・・んですか?」

 

I「できましたねーというかやりましたという感じです(笑)。」

 

S「2か月で何が出来るか、やらなきゃいけないか、全部書き出して、予定を組み上げて・・・・。いつまでにチラシを作る、いつまでに配布する、出展者さんを管理するための規約書を作る・・・みたいな事務的な作業プランを組み上げた感じです。」

 

I「私はデザインをやっていることもあってか、イベントなども形から入りたいタイプなんですよ。どんな屋号がいいかとか、イメージカラーは何色にしようかとか(笑)あのハイシーのロゴも当時5歳だった二女が書いたものを基に作ったんですけど、私は形から入っちゃうタイプで(笑)」


S「私は、そんな事はどうでもよくて、成功させるためには何をしなくちゃいけないかみたいなことばかりで頭をフル回転させてました(笑)」

 

O「ああ、ある意味、すごくいいコンビですね」

 

I「ある意味コネもノウハウもない2人がイベントを立ち上げる訳で、とにかく集客しなくちゃ、それには告知しなくちゃと、チラシを印刷していました。当然家庭用プリンターの使用頻度は当に超えていて、ふたりとも自宅のプリンターをぶっ壊して。。まだ印刷にかけるっていう知恵もなかったので(笑)」

 

O「すごい」

 

I「よくやったなと思いますよ(笑)」

 

<初めてのハイシー、イベントはこうして始まった!>

 

O「作家さんはどうやって集めたのですか?」

 

I「作家さんには、コネも知り合いもいないので、ブログで声掛けたりして、それがハイシ

ーの本当に初期のメンバーになっていますね。本当に怒涛の2か月でした。今はみんな色々

なイベントに出ているんですけど、当時はイベントに初めて参加される方がほとんどでした」

 

O「そんな第一回目のイベントは何人くらいの作家さんが出展されたんですか?」

 

I「16~17店舗かな」

 

O「お客様は?」

 

I「お客さんもかなり来てくれて、それまで、瀬谷でこういったイベントが少なかったので、物珍しいっていうこともあったし。今考えてもよくこんな素人を応援してくれたなって思うくらい、会場を持っている小林住宅工業さんやオレンジクローバーさんからも応援をいただいて」

 

O「いい感じでスタートを切れたんですね」

 

S「本当に皆さんのおかげです」

 

I「終わるころには『次はいつ?』って聞かれて、ああ、次はいつとか言ってもらえるんだと思うと嬉しくなりました」

 

O「ハイドアンドシークっていうお名前で1回目から始まったんですね」

 

I「そうですね、駐車場で決めました(笑)いくつか候補をだしたんですけど、割とすんなり決まって。
ハイドアンドシークってかくれんぼって意味なんです。隠れていないで出ておいで―というメッセージです」

 

O「1回目が成功して、じゃ、これを続けていこうって決意を新たにしたって感じですかね?」

 

I「うーん、イベントって正直全然お金にならないんです。主催したことある方は判るかと思うのですが、まったくならない。ブース料を作家さんからいただくんですけど、殆どが広告宣伝費や場所のレンタル代などで終わってしまうんです」

 

S「最初なんかは出展料もかなり低めに設定したので、広告費もでないよね。ほとんど自腹で」

 

I「私たちがまったく無名だったので、作家さんたちが出てくれるかどうかわからない。

とりあえず出てもらいたいってことで、ものすごい(低い)金額で始めたんです。
私は作家さんとのお付き合いの中で、デザインの仕事にもつながって行くようになったので。佐藤に関しては、私から佐藤に渡せるものもないですし、ふたりで割ろうねっていうことになるほど残るものもないですし、ほんと、いいの?いいの、佐藤さん??っていう感じで。この後、どうする?みたいな感じで。(笑)」

 

S「2回目も半年後に同じ会場でやったんです。イベント主催ってホント雑務の繰り返しなんです。この頃には、自分のパワーストーンの仕事も回らなくなって(笑)私はこれでいいのかと悩んだりしました。

2回目が終り、振り返ってみた時、やりがいのある事だなと凄く思ったんです。それで腹をくくってやろうと決断しましたね(笑)
それから半年に1回、同じ会場でそれを4回続けたんです。
もともと勢いがありガンガン進んでいく伊藤と、なぎ倒して進んでいくブルトーザ―のような佐藤コンビで活動を続けていくうちに、作家さんの間でも噂になってきたらしくて。

新しい作家さんも増えて、作家が作家を呼ぶみたいな感じで今に繋がっています」

 

I「最初の頃は、作品を委託の形でお預かりもしたりして。3回目はとても充実したイベントになりました。
3回目は、お客さんが常に絶えない感じで。
イベントってだいたい、午前中にばーっとお客さんが来て、昼ごろに落ち着いてっていう感じなんですけど、その時は常にいい流れでお客さんがいてくださって」

<<活気でいっぱいハイシーのイベント、支えるのは『とにかくポスティング!』>>

 

O「そう、私2回ハイシーさんのイベントに遊びに行かさせていただいて、すごい印象的だったことは、どの回もお客さんがすごくたくさんいらしているっていうことで」

 

S「ありがとうございます!」

 

O「やっぱりイベントをやるにあたって皆さん苦心されるのは集客だと思うんです。来てもらわないと作家さんにメリットがない、メリットがないっていう噂がまた広がっていくので。1回目から集客が順調だったわけですよね」

 

S「そうですね。比較的順調だったかもしれません。多分それはですね、単に告知に力を入れたというだけなんです(笑)
お金はないので広告にお金をかけることができないので、とにかくポスティング!
小さなイベントって主宰が作家さんという事もあるんですが、作りながらイベント業務に力を入れるってほとんど不可能なんです。チラシだって、素人が作るには本当に大変な作業で。
その点うちにはデザインのプロもいるし、企画やプランニングは比較的私が得意なので、素人なりに何とか形になったのかもしれません。

とにかく、目先の利益よりも作家さんが満足してくれるようにお客様を呼ばなければならないっていうことがあって」

 

I「ターゲット層が30代から50代の子育てママなので、出展者さんから新興住宅地を教えてもらって重点的にポスティングしたりしましたね。メンバーも協力してくれて、沢山配布してくれました。
ハイシー恒例の合同ポスティングっていうのもがあるんですが、1台の車に何人か作家さんに乗ってもらって、ポスティングのエリアでみんなを降ろしてポスティングをするんです。
そうやって沢山の作家さんや協力してくれる方達のおかげで、少しずつ認知度を頂けた気がします。
今でこそ、名前を知っていてくれる人もいますが、当時は無名も無名だったし、やはり私達は私達で葛藤しながら活動を続けていましたからね。
そうしたドタバタ劇や日々悩んでいる事をブログに書いたりしているので、とても人間臭くて、そこがいいと温かい目で見て貰っていまに至っているのかもしれません(笑)

おかげさまでイベントに出たいという作家さんも増え、会場の広さの問題や同じ場所でやり続ける事でのマンネリが4回目に見えてきて、場所を新天地にうつしてはどうかと。。」

 

S「もし自分達が作家であれば、多分同じ場所でやり続けていたと思います。
なぜなら会場探しって本当に大変だから(泣)。
作家であれば自分の作品が売れればいいやってなると思うんですが、私たちは作家ではな

いので、全体的な視点を考えることが多いんです。なるべく多くの作家さんに満足してもらえるにはどうしたらいいかと。その結論からこの場所ではもう終わりかなって」

<ハイシーの方向性が見えてきた!>

 

I「現実的にもブースが入りきらなくなって。それで大和駅徒歩1分の会場「スカイビル」

さんを貸していただけることになって、それが第5回目ですね。
丁度その頃、この頻度の規模のイベントだけを活動として続けていくのは、不可能だということが見えてきたこともあり、今後の方向性について悩んでいたりしました。
私達のしたい事は、イベンターではないという答えも出てきたりして。
それなら、もっと作家さん一人一人の活動の幅を広げるサポートが出来たらいいなぁと思いまして、より作家に寄り添った目線で活動をするため、メンバー制というのを導入しました。
作家活動のサポート出来る事は何かと考えながら、色々な作家さんの意見を聞きながら取り組んでいる感じです。
メンバーに入るには、必ず作品の写真審査がありまして、その後実物を見て確認する面談もしていますね。やっぱり実際会うってとても大事なんです。やはり人と人ですから。
1日3人くらいの作家さんの面談をしたこともありますね。ファミレスでかなり怪しがられながら・・(笑)
でもそうやって加入してくれたメンバー同士がすごく仲良しになってイベントに出たりするのをで、見ているととても嬉しいです?。あーハイシーやってて良かったなぁって」

 

S「ハイシーはメンバー制ですが、他のグループへの参加もOKですし。しばりもありません。お子さんのいるママさんも多く所属している事もあり、作家さんによっては、小さなお子さんの子育て中の方もいますし、お子さんがいない方もいる。家庭環境も状況もさまざまなので、ご自身ができる範囲で『これをやりたい、これならできる』ということで参加してもらっていますね」

 

O「グループの方たちの質を保つために色々工夫していらっしゃるんですね」

 

I「はい、その辺は注意を払っています。今、45人くらいの方がいらっしゃるかな」

 

O「素晴らしい」

 

I「しかし過去失敗した事もあるんです。せっかくメンバーになってもらったので、活動の幅をどういう風に広げるかという事だけに重点を置いてしまった事も・・・。
「作家として売れて欲しい!」そんな気持ちだったのですが、当の作家さんは、ご自分にできるペースで進めたかったわけで。。。苦痛に感じられて脱退された方も。そういう失敗を色々経験しながら今のスタイルが少しずつ確立されてきたという感じです。」

 

S「色々な失敗もして、ようやく最近いい感じで落ち着いてきて、そうなると作家さんが作家さんを勧誘してくれたりして、増えてきたんですよね。作家さんがいいよって言ってくれることが一番うれしいですよね」

 

I「メンバーの作家さんからの紹介だと私たちも安心できるし。作家さんでも物を作って売りたい人と、教える先生になりたい人、みんなそれぞれなんです。
7月から大和のスカイビルさんのスペースを週1回お借りできることになって、そこで教室としてミニワークショップや販売もできるミニショップもやっていこうと!」

<人に恵まれるハイシー、これからは?>

 

O「すごい、どんどん広がっていきますね。今後のハイシーさんとしての活動は」

 

I「まだまだ発展途上ですが、やっぱり作家さんの支援が出来たらいいなと思っています。
今、企業さんから出展の打診をいただいたりしながら、イベントに出展したり、サロンさんなどに作品を置いて頂く『委託ぐるぐる』という制度も導入しています。作家さんから作品をお預かりして、サロンさんなどに委託で作品を置いていただいているのですが、これが相乗効果を生んでいて。。。」

 

S「ハンドメイドをされている方って、自宅サロンさんに行きたいなと思っていてもなかなか踏み出せない人も多いんです。

サロンさんはサロンさんでハンドメイドを置いてあるという珍しさで、予約が取れやすい。これが相乗効果を生んでいる点だと思います。
毎月10日に作品を入れ替えるっていうことにすると、楽しみにしてくださるサロンのお客様が、作品の入れ替えのタイミングで次の予約を入れてくださったりするようなんです」

 

I「あとはとにかく自分で身に着けるってことが大事ですよね。ポーチからお財布から身に着けて」

 

S「歩く叶姉妹みたいな(笑)」

 

I「良いものは必ずママさんも良いと思ってくれるので、身につける事が宣伝になるのです。やはりハンドメイドは、「あったらいいな」の宝庫ですから

 

O「素晴らしい」

 

I「でも、今までもそうですが全て順調に来たわけでもなく、本当に色々悩んで転びながら、また立ち上がって走る!みたいな感じで進んできています。軸がぶれないねって言われることもたまにあるんですが、マイクロファイバーみたいな軸で、ぶれないように見えるだけなんですよね(笑)私たち、土地勘も伝手もコネもお金も人脈もまったくのゼロからスタートでした。
でも少しずつメンバーも増えて応援してくださる方も増えて。。。こうやってインタビューなんてしていただいて。ハイシーの一番の才能は人に恵まれているところだって胸を張って言えます。」

 

O「おふたりの応援力は、すごいですよね。この前『手づくりと言えばハイシーと言われるようになりたい』とおっしゃっていましたよね。おふたりはメディアに出たりはしないんですか?」

 

I「いつでも出ますよ(笑)「ハイシー」をPR出来る場に出ていきたいです」

 

S「なんかありましたら、よろしくお願い致します(笑)」

 

O「絶対出たらいいと思う!おふたりのキャラは面白いし!今後の活躍も期待しています。今日はありがとうございました」

 

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